わたしの憧れ

ミニマリストと自分で言うのはちょっと恥ずかしい気もするけど、わたしはミニマリストに憧れている。ミニマリストの人の書いた本を好んでよく読んでいるし、YouTubeなんかもよく見る。ミニマリストの何にわたしは憧れているんだろうと考えてみると、物に執着していないことがいいなぁと思う。だからこだわりのあるミニマリストよりも執着がないから物が少ない人がわたしはよりいいなぁと憧れる。

物が少ない人というと思い浮かぶのは、川上弘美「ハヅキさんのこと」の中の一篇「琺瑯」に出てくる町子のこと。町子はどこかのお店で働いていた女の子で(飲み屋さんなのかな)主人公の美佳は酔って町子を連れて帰ってくる。美佳は覚えていないけど「来れば」と言ったらしい。そのまま町子は美佳のところに居つく。しばらく経つと美佳は町子に執着しはじめる。もっと広い部屋に引っ越してもいいと町子に提案する。

「ここでじゅうぶんだよ」町子は低い声で言った。「あたし、荷物もないし」

 それはそうだね、と私は頷く。町子は、ほんとうに荷物というものを持たなかった。洗面器と、それを包む風呂敷と、今着ているものを含めて、下着が二組、着替えも二組。

引用元:川上弘美 ハヅキさんのこと 講談社

初めてこれを読んだときから町子がかっこよくてうらやましくてこの本が大好きで、何度本の断捨離をしてもずっと手元に残り続けている。わたしの執着心。町子に憧れ続ける定め。

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