なってみなきゃわかんないことばかり

知らないことを知ることって大事なんだなと実感したことがある。松葉杖について。

松葉杖で歩くのって大変そうやなと思うのと実際に松葉杖で歩くのとの差はすごい。もう大変どころではない。長距離は無理。できない。不可能。20メートルくらいで精一杯。もうそれ以上は無理。あれはやってみないとほんとうにわからないと思う。腕の筋力の差もあるのかもしれないけど。

去年の7月、右足を骨折した。捻っただけかなぁ~でも痛いし腫れてると思いながら、当時の職場の近くの整形外科に行ってレントゲンを撮ってもらうと、「あ~これは他の病院紹介することになりますね」とレントゲン技師の先生が言った。「え、なんかなってましたか」と聞くと「なってますね~」と言っていた。「家遠いですね。松葉杖お貸ししますけど、大変だと思います。あとで階段の練習をしましょう」と言われ、階段の上り下りの練習をして、松葉杖で帰ることになった。

駅まで車で送ってもらい、阪急電車に乗った。駅まで送ってくれた人はそのときわたしは笑っていたと言う。そのときは松葉杖でもなんとか帰れると思っていた。

結局阪急大阪梅田の駅で電車を降りて、改札にたどり着くころにはもう絶望していた。それでも頑張って休憩しながら大阪メトロに乗り換えて最寄り駅まで帰ってきた。そのときすでに腕の力は尽き果て脇で支えてしまっていたので脇はずるむけ。改札の方向には階段しかなくて逆方向のエレベーターまで歩いていき、また改札の方へ戻らなければいけなかった。絶望。もう無理。半泣きになりながらもなんとか、ほんとうになんとか改札を抜けてエレベーターに乗って地上に降り立つ。このときにタクシーに乗ればよかったのだ。疲れていたので自動販売機でデカビタを買って一気飲みして、「よし」と気合を入れて、普通に歩けば徒歩7分の道を松葉杖で歩く。5歩進んで休憩。5歩進んで休憩。5歩進んで休憩を何度も繰り返してもう限界尽き果て沈没。ガードパイプにもたれ、近所に住む姉に大泣きで電話して迎えに来てもらった。

姉と甥っ子二人がしばらくして自転車で現れ天使だと思った。一生大好き。

松葉杖はほんとうに無理だ。当時、Amazonのアイウォークフリーというハンズフリーの松葉杖のレビューがどれほど心強かったか。そこには松葉杖に苦戦した仲間たちがたくさんいた。松葉杖無理だよね!の共感の嵐。大好き。わかりあいたい気持ちをわかりあえる幸せ。わかりあえることができる幸せ。

わたしは松葉杖のつらさはわかるけど他のわからないつらさがたくさんあるんだってことはわかった。なってみなきゃわからないことがあるんだってことがたくさんあるんだってこと。

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